「天国は地下 真冬の夜の底」

 

踊ってばかりの国 / 2017_8_31

 

何年前か、代官山UNITで観た踊ってばかりの国

初めて観たときの彼は金色に染められた長い髪を揺らしながら、殆ど啓示にも似た唄でまるでキリストのようだった。衝撃的だった。今日、この場所で、あの時と同じように、違うように、林さんは居なくなって編成は変わっても、彼はより生に近く、全てに寄り添うように力強く存在の全てを賭けて、「生きるぞ!」と言わんばかりに、光を唄っていた。それは去年のキネマ倶楽部で観たときも同じことを感じた。何より数年前のあの時よりも彼は生きている。多分数えきれない哀しみがあったように見える、その前からただでさえそうだっただろうと彼を見ていて思う。それでも彼が楽しそうに唄っているのを見ていると全ての怒りや哀しみは癒えて気が付くと僕も殆ど泣きそうになりながら笑顔になっていた。思えば彼らのライブはいつもそうだ。哀しみの底から救い出したような言葉やメロディを描ける人が、普通あんなに楽しそうに嬉しそうに唄えるはずがない。それでも殆ど存在の燐光の中で、彼は本当に音楽を信じているのだと思う。何より彼自身が多分観客の誰よりも一番にステージの上で音楽を楽しんでいる。どんな景色も楽しんでやろうと。「夏に勝ったぞ!」とか「ここにいる俺たちの勝利だ!」とか叫んだり。彼はずっと良い意味でのイノセントであり続けていた。普通の人が諦めて道に捨てて行くものを彼は絶対に離さなかった。最後に「それで幸せ」「言葉も出ない」を唄える尊さ。「evergreen」「唄の命」「Boy」「バケツの中でも」を聴けて嬉しかった。

 

 

みんなが求めた自由の唄に形がないのなら

ときめく心は大切に 心を大切に

メランコリックワールドにおいでよ evergreen night

天国は地下 真冬の夜の底

 

 

涙と笑顔のその間で人知れず揺れて笑うあなたと

 

 

それを見てつい数日前ほとんど絶望にあった僕はまだ生きたいと思ったし、強くならなければならないと思い出した。

 

ロシア語と白黒の写真でデザインされたブックカバーとナボコフの「青白い炎」に今日のチケットを折って栞みたいに挟んで、誕生日プレゼント、なんて馬鹿みたいに洒落た友人に感謝している。キネマ倶楽部絶対行くぞ。