日常性8

 

珈琲のカップにミルクを注ぐ 

円錐の底面の縁の上に

内側に向かって座っている少年の顔に覗く空漠の笑顔の中に

白い正四面体は完成する

頭上から鋭い鉄の棒が正四面体を貫き

輪郭は解けて液体となり零れる

 

夜空を剥がせば

青空に放たれた粒子に反射したる光が見せるのは

幼き頃の庭に埋めた小鳥の鳴き声に似ている

 

滝が落ちる破れた水面は円錐の少年に似ている

 

砂漠の駱駝たちの瘤に溜まった水は

あの溶けた正四面体の液体であるそうだ

 

今はもう小鳥の鳴き声だけが見当たらない

ああ、小さき顔よ

君の声はもう青空に鳴らなくなってしまったのか

 

紫煙の中の夢のようだ

駱駝の瘤に似た小麦粉を咽喉に詰める

小さき声の破片が泥色の液体と混ざる